calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< July 2010 >>

categories

archives

Amazon.co.jp

忍者

クローズアップ現代「フードデザート〜広がる“食の砂漠”〜」 2010年2月1日(月)

カップラーメンや缶詰中心の食事を余儀なくされ栄養不足に陥る高齢者が増えているのです。背景には 不況の中 加速する商店やスーパーの閉鎖があります。歩いても歩いても新鮮な食べ物が買えないフードデザートいわゆる食の砂漠が全国に広がっています。フードデザートで起こる栄養不足が老化を加速し寝たきりのリスクを高めるという研究も始まっています。
かつて 深刻なフードデザートの問題に悩まされた イギリス。解決の決め手は徹底した住民の参加でした。
全国に広がる食の砂漠 フードデザート。深刻な健康被害から高齢者を守るには どうすればいいのか。その対策について考えます。
こんばんは。「クローズアップ現代」です。消費不振 デフレの中で全国のスーパーなどの店舗数はこのところ急速に減少しています。2008年 8,827を数えていましたが去年の11月末までに642ものスーパーなどの店舗が姿を消しています。採算が悪くなった店舗の閉鎖で地方都市の空洞化商店街の衰退に拍車が かかり車を持たない 運転できない所得の低い人々や高齢者を中心に生活環境が急速に悪化する事態をもたらしています。八百屋や魚屋だけでなくスーパーまでも 次々に閉店し生鮮食品を近所で買うことができないそんな地域が増えているのです。中心部でありながら生活の基本的なインフラとも言うべき食料の調達が難しくなる。食の砂漠 フードデザートと言われる地域の広がり。その影響をとりわけ強く受けているのが体力が低下した高齢者です。買い物の回数を減らすことで栄養状態が悪化し 老化の加速や寝たきりになるリスクの増加などが懸念されています。実際 日本より早くこの問題が起きたイギリスでの大規模な実態調査では 生鮮食品が手に入りにくくなることで脳卒中や動脈疾患などにかかり死亡する割合が平均の2倍に達したという結果が出ています。今後 高齢化が急速に進む中でどのように空洞化が進んだ街に暮らす人々を支え地域のにぎわいを取り戻すことができるのか。まずは日本の都市部で都市部の中心で起きている非常に厳しい実態からご覧いただきましょう。
よいしょ よいしょ。
茨城県水戸市で1人暮らしをしている深瀬春美さん 73歳です。この日は 週に1度の買い物の日。歩いて30分かけ 食料品を買いにスーパーへと向かいます。2年前に甲状腺の手術を受けた深瀬さん。すぐに息が上がってしまい休み休みにしか進めません。深瀬さんの家は水戸の駅前にあります。以前は歩いて5分のスーパーに毎日のように通っていました。しかし去年 そのスーパーが閉店。遠く離れた別のスーパーに通うようになったのです。やっとの思いでスーパーに たどりついても欲しい品物をすべて買えるわけではありません。
帰り道のことを考えるとどうしても 重くてかさばる野菜は避けがちです。一方で増えたのが缶詰やレトルト食品。日もちがするためついつい買い込んでしまいます。この日買ったのは食パン 即席みそ汁に缶詰出来合いのハンバーグなど。重さを考えるとこれで精いっぱいです。近所のスーパーが閉店したことで深瀬さんの食生活は大きく変わりました。この日の夕食のおかずはツナの缶詰。それに 冷蔵庫に残っていたブロッコリーを添えます。結局メニューは ゆでたブロッコリーにインスタントのみそ汁そして ブロッコリーの茎とツナをあえたものでした。もっと いろいろな野菜をとりたいと思っていますが難しい状況です。
深瀬さんの住む水戸市で買い物を巡る環境が変わり始めたのは1990年代半ばのことでした。国が 大型スーパーの出店に関する規制を 大幅に緩和したことがその原因でした。水戸市郊外には圧倒的な品数を誇る大型店が相次いで誕生しました。その一方で 中心部では商店やスーパーなどの廃業が加速していったのです。15年前に 30店舗以上あった水戸中心部のスーパーは2/3にまで減りました。こうした街の変化が高齢者の生活にどのような影響を与えるか。茨城キリスト教大学の岩間信之さんは調査を行ってきました。水戸市の中心部には多くの高齢者が住んでいます。これに スーパーの位置を重ねます。赤く残った部分が自宅から半径500メートル以内で満足に買い物ができないフードデザートに住む高齢者の多い地域です。
食というのを満足に得ることができない高齢者が増えているというのが高齢者を置き去りにしていると。車も運転できない方が多いですから こうした方々がまず最初に この問題の被害にあっているというふうに思います。
健康への影響も懸念されています。フードデザートが疑われる地域に住む高齢者200人以上を対象に食生活の調査を行いました。豆類や緑黄色野菜など10種類の食品群がどのくらい摂取できているかを聞きました。すると 高齢者の半数が健康維持に必要な最低限の栄養すら摂取できておらず深刻な栄養不足にあることがわかったのです。高齢者の慢性的な栄養不足は肺炎などのリスクを高め最悪の場合 脳卒中を引き起こし寝たきりに つながりかねないと専門家は指摘しています。
栄養状態が落ちますと老化が加速しいろんな病気に かかり かつ要介護状態のリスクを高めてしまう。これは見過ごせない大きな社会問題ととらえていいと思います。
よいしょ。
週に1度 遠くまで買い物に出かけている深瀬さんです。5年前から糖尿病を患っている深瀬さんはなんとか 食事を改善したいと考えています。しかし 1人娘は東京に嫁ぎ介護保険のヘルパーも掃除などで手いっぱい。買い物までは頼めません。年金で暮らす深瀬さんが食事にかけられるお金は月に2万円余りです。市の配食サービスもありますが1食500円と 高くて手が出ません。深瀬さんは このままでは いつか体を壊してしまうのではないかと心配しています。
今夜は地方自治と街づくりに大変 お詳しい千葉大学教授の新藤宗幸さんにお越しいただいています。過疎が進む中山間地で公共交通機関がなくなって食料の確保に困る方々も大勢 いらっしゃいますけどもここのように 都市部のそれも中心地に暮らしていて食料が なかなか確保できないという事態っていうのは本当に驚くばかりですね。
そうですね。特に この舞台っていうのは東京圏の中にあるしかも県庁所在都市ですからね。よく過疎地で 限界集落ということが言われますけれども都市の中に まさに限界部分が明確に出てきたとそういうことを表してますよね。食べられないっていうか食品が手に入らない生活インフラが決定的に なくなってるというまさに危機的状況じゃないでしょうかね。
これまでも 商店街の衰退シャッター通りの問題っていうのはずっと指摘されてきたんですけれどもしかし その 今おっしゃった生活のインフラ その構造までが壊れるに至ったという この理由どう見たらいいんでしょうか?
まあ いろんな理由がありますけれども一つは 1990年代初頭からですね大型ショッピングセンターの規制が緩和されたんですね。郊外に まあ出来てくる。そうすると 最初は 零細的な中心的な旧来の市街地が つぶれる中小級のスーパーが つぶれる。結局 その大型ショッピングセンター同士も非常に激しい競争をやって簡単に撤退をする。こういうことが一つ この問題の発端であろうかと思います。ただ もう一つは 日本の街づくりという問題がですね一方で 土地の所有権を 非常に個人の所有権を高度に認め他方で 行政が これはこういうことに使うんだという線引きっていいますかね用途規制だけを権力的にやっていて住民の生活を考えたシステムはどうあるべきだという街づくりをしてこなかった。その付けが 全面的に出てきてるということじゃないでしょうか。
商業地は ここまでとか住宅地は ここまでという線引きはしますけども実際に どういう人たちが住んでどういうニーズがあるのかっていうことを把握しながらの街づくりをしてこなかった。
してこなかったということですよね。 そういう発想がまったく欠けてるということじゃないでしょうかね。
現在 高齢者のこういう問題を支援しようと市民の団体の中でも 動き出しているところもありますし商店街でも宅配サービスを充実させるといった各地の取り組みは やはり活発にはなっているんですよね?
一応 各地で今のような事例も あるんだけれども独居老人 あるいは それに等しいお年寄りを いろんな生活面で支えていくという市民運動あるいはNPOというのが結構 私が知っているかぎりでは各地で展開されてます。ですから さきほど500円給食って話ありましたけど無償で 給食のサービスをしているそういう団体もありますね。他方で国は中心市街地の再生だっていって駅前に テナントビルを作るってなことを言ってますがこれでは だめなんであって今 地域で展開されているそういう地味な活動をね自治体が中心になっていかに統合していくか。こういうことが重要でしょうね。
こぼれ落ちている方々が実際に いるわけですから。
いっぱい いますからね。
もっと こうシステムとしてどうやって この各地に作り出していくのかと。
そういう生活の原点からの街づくりということを中心にしていくべきですよね。
日本の都市の中心部でこのように広がっている食の砂漠 フードデザート。この問題は 10年以上前にイギリスで社会問題となり克服に向けた努力が続けられてきました。続いては街づくりの見直しを通して人の流れを取り戻すことに成功したその対策とプロセスをご覧いただきましょう。
イギリス北部の都市 シェフィールド。かつて この街もスーパーや商店が減少。生鮮食品を買うのが難しいフードデザートの問題に直面していました。イギリス経済が停滞した1980年代シェフィールドでは主産業の鉄鋼業が廃れ大量の失業者が街に あふれました。国は 景気対策として大型スーパーの出店を促す規制緩和を打ち出します。その結果 シェフィールド郊外にも大型スーパーが乱立しました。その一方で 街の中心部では商店の閉鎖が相次ぎ人通りも なくなっていきました。当時 シェフィールドで 最も衰退した地域の一つ エドワード地区。食料品を扱う店は 軒並み廃業。住民の多くは街を去り廃屋が増え続けていました。この地区の公団住宅で取り残されるように暮らしていたお年寄りたちは1キロ以上離れた市場へと食べ物を買いに通っていました。
近所のお店はすべて なくなってしまいました。昔は 食料品から日用品なんでも近くで買えました。
こうした街の荒廃はイギリス各地で深刻化。国は歯止めをかけようと 郊外への大型スーパーの出店を規制します。しかし 街の中心に 人の流れが戻ることはありませんでした。転機となったのは地域再生を掲げるブレア政権の誕生でした。地方自治のあり方を根底から覆す改革に乗り出したのです。従来の街づくりは市など地方自治体が計画を決め企業や市民団体などがそれを実施するいわゆる トップダウン方式でした。しかし新たなやり方では市役所も含めパートナーシップと呼ばれる協議会を作り皆が平等な立場で話し合いをし街づくりを進めるのです。どうすれば街の衰退は止められるのか。シェフィールドに発足した協議会にはさまざまな人々から要望が集まりました。フードデザートに悩んでいたエドワード地区の お年寄りたちからも要望が寄せられました。
とにかくお店が欲しいと言ったんです。買い物するのにバスで遠出をするなんてまともな暮らしとは言えません。
協議会で取りまとめ役を務めたNPO法人代表のアンディ・トップリーさんです。協議会では エドワード地区に商店を呼び戻すにはまず 人の流れを復活させることが不可欠だと判断し対策の検討に入りました。そのころ 協議会に参加する大学関係者からある提案が寄せられました。エドワード地区に 新たな学生寮を建てたいというのです。
この地区に学生寮を作れば学生も 街の中心部に住むことができるし街の再生にも 一役買えるかもしれないと考えました。
この地区には閉鎖した町工場が廃屋となって残っていました。土地の取得がしやすいと考えた地元のディベロッパーからは投資の申し出もありました。それを受け 協議会では一つの計画を立てました。お年寄りたちが住む公団住宅の周りに 学生寮を建設。人の流れを生み出すことでスーパーや商店を呼び込もうというものでした。
トップダウンではなく 市民が一丸となって街づくりを行う。これは まさに画期的な変化でした。住民をはじめ 企業や投資家などさまざまな人々がそれぞれの立場で何が できるのかを提案し最善の結果を導くことができるようになったのです。
計画に従い エドワード地区に次々と学生寮が建設されていきました。その結果 2,000人を超える学生たちが新たに移り住みました。お年寄りたちの要望から8年後。待望の食料品店が開業しました。ずっと不安を抱えてきた高齢者たちにとって長らく待ちわびた店でした。
とっても便利になったのよ。パン ポテト お肉 お茶。なんでも買えてみんな とても助かっているわ。
協議会の取りまとめ役のトップリーさんは街に住む人々それぞれが 主体的に街づくりに かかわったことがフードデザートの解決に つながったと考えています。
私たちが行ったのは人々が何を望むのか 徹底的に聞き解決策を探ることでした。ひとりひとりの生活の質を確保するためあらゆる努力を惜しまない。それが街の再生の第一歩なのです。
新藤さん 今のシェフィールドでこのパートナーシップという自治体や住民 企業などがパートナーシップを組んで街づくりを話し合うプロセスが始まったのが1998年。今 見違えるように人が戻っているんですけれども日本ではこのフードデザートの問題が起きそして これから急速に進む高齢化に向けてやはり今 この長いプロセスをスタートさせないと 困る人たちがいっぱい出てきますよね。
そうですね。まさに逆方向に行ってるんですね。だから要するに イギリスでシェフィールドで試みたようないかに いろんな世代をちゃんと集めて行政は 一歩引いて街づくりを考えるかというこれは緊急の課題だということですよね。
住民参加っていう声はよく聞きますけれどもね街づくりに向けて。
ただ 今参加っていうことを言わない自治体というのはまず ないですけれども。しかし ある意味で官製参加であってもう誰が入ってくるかというのは決まってるし最終的な報告書というのも行政側が書いている。これじゃあ だめなんですね。やっぱり 日本で街づくりの参入に あるいは再生に成功してるっていう所には必ず 情熱的にそういうことを訴え回る。最初は ほとんど成算ないじゃないかと。にもかかわらず訴え回って一つのチームを いろんな専門家といっしょに作る。そういう人物が 必ずおりますね。だから まあ でも決して悲観する必要はなくてそういう人たちが登場してくるということを祈るべきじゃないでしょうかね。
本当に 街づくりを抜本的に変えようとすると資金もいる 専門性もいる住民の意識も高まらないといけないっていう。こういうことって 容易ではないようにも思えますけどもね。
確かに容易ではないんですね。容易ではないんだけれども日本の伝統的なやり方である行政が前面に出る。そこから その後 失敗を認識して後ろに引くことですよ。そうすれば高学歴社会の中でいろんな専門家専門的知識を持っている人いっぱい いるわけですからおのずと 前に出てくるというふうには言えるんじゃないでしょうかね。
それにしても もし自分の街で1つの生鮮食料品店がなくなったっていうことのこの意味っていうのはやっぱり すごく認識しなければいけませんね。
これは だからその 都市が衰退の危機。それをシグナルとして表してるんじゃないですか。ちょうど 坑道のカナリアみたいな。ちょっと古い例えかもしれませんけれども。生鮮食料品がなくなるってことは都市全体が病んでるということの具体的表れだと思いますよ。
こういった長期的な街づくりも非常に大切ですけれどもやはり あすの お野菜あさっての お肉。そういったことをしっかりと食べなければ健康を害するというような危険にさらされている高齢者がたくさんいると。抜本的に今 すべきことっていうのは なんでしょうか。
まさに パートナーシップの街づくりというのは少し長期的課題ですよね。やはり今 行政がやるべきことというのは例えば最初のビデオに出てきたけれどもお年寄りたちの健康状態がどうなのか。あるいは それに基づいた食事の指導をするとか。あるいは 足の問題があるならばねコミュニティーバスを きちんと走らせる。あるいは無料のチケットを配る。こういうことにやっぱり取り組んでいくことじゃないでしょうかね。それは緊急の課題だと思います。
これは やっぱり保健所であってもいいですし。
保健所でもいいし相談部局でもいいですけれども。
まず とにかく状態を知るというところから スタートしなければいけないわけですね。
そうですね。
ありがとうございました。千葉大学教授新藤宗幸さんと共にお伝えしてまいりました。これで失礼いたします。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック